ニュース・お知らせ

農家の社会的責任

2014年05月

14.4.26土壌診断の土

秋に植えるブロッコリー畑の土壌診断に使う土を採取しました。

合計して14か所、筆で数えると倍以上になります。

面積の合計は約1.4ha。1つの畑で10a。1筆あたりは5aです。

ちょっと分かりにくいのですが、1つの畑(としてまとめていますが)でも地主さんが数人いるところもあります。
隣り合っている、Aという畑をAさんから、Bという畑をBさんから借りて、合わせてA(もしくはB)という畑としています。言いたいことは私は便宜上A、Bの畑を一つの畑として使っていますが、実際の畑の単位はそれより小さいということです。

畑が大きいことのメリットは、トラクターで耕耘するのに効率がいい、移動時間が少なくてすむ、などがあります。

さて、ここからが本題です。

私は最近新たに農地を30a借りました。

30aの内訳は、条件は良いが4aと狭い土地、条件のあまり良くない6aの土地、条件が最も良い20aの土地です。
私に話をくれた方は、最初4aと6aの畑を見て私が決めればいいと言ってくれました。
正直、4aの土地は借りたいが、6aの土地は無理して借りなくてもいいかなと思いました。
私は「地主さんは同じ方ですか」と聞きました。
「同じ方です。」との返事だったで、「それでは2か所ともお願いします。」と決断しました。

その後、地主さんの家に行って話を進めました。
地主さんは不在でしたが、体調を崩して農業を続けられなくなったそうです。
娘さんと3人で話した時、紹介してくれた方が「家の前の土地はどうするんだい?」と娘さんに聞きました。
「お父さんからは4aと6aの土地のことしか言われてなかったけど、家の前の土地も借りてもらったらどうだい」と続け、娘さんのも「そうね、夫も勤めで畑の管理は難しいし、お父さんに話してみます。」となりました。

後日、地主さんの承諾を得て、正式に30aの土地を借りることができました。

一つ言えることは、もし始めの段階で4aの土地しか借りなかったら、20aの土地の話はなかったかもしれないということです。

農業に携わることができなくなり農地を貸す場合、土地の管理をどうするかが問題となります。遊休農地にすると他の人に迷惑がかかる、特にこの思いは今まで農業をされていた人、農家で生まれ育った人が強く持っています。

自分で管理ができないのなら信頼できる人に任せようと考えます。
農地というのは良い土地もあり、良くない土地など様々です。
貸す方としては、良くない土地も全て面倒を見てほしいのです。
信頼できる人というのは良いも悪いも含めて受け入れてくれる人のことです。

企業的な考え方なら、生産に非効率な土地には投資しないでしょう。
でも農業の場合、効率重視の考え方が最良とは言えないと思うし、ある程度のゆとり(無駄とはいいません)が逆に発展につながると信じています。

これから高齢でリタイヤする人が増加することでしょう。
その時に農地を、地域を支えられることが、これからの農家の社会的責任だと思います。
そのために、信頼してもらえる人になれるように、今から準備を怠らないように努力していきます。